福井県作業療法士会 WEB版すいせん -2020年6月号

 

福井県の生涯教育制度推進の現状　

福井県作業療法士会では「教育部」の理事を、協会の教育部からは「生涯教育制度推進担当」を受嘱しています。生涯教育制度推進担当者の役割は、制度の円滑な推進のために協会と士会のパイプ役として、士会への情報伝達、士会からの情報収集を行います。特に基礎研修制度の現職者研修の運営に関わり、より多くの会員の方に認定作業療法士を目指すためのお手伝いをさせていただいています。

2019年11月時点で基礎研修修了者は協会会員数61973名中3459名とわずか６％弱であり、福井県の修了者は54名（9.6％：県内取得率）です。一方、認定作業療法取得者は全国で1006名（1.6％）であり、福井県は16名（2.9％：県内取得率）となっています。これでも県内の修了取得率・認定取得率はそれぞれ全国上位５県内であり、県士会会員の皆様には生涯教育制度推進の活動に対してのご理解とご協力を承り、この場をお借りして心より御礼申し上げます。しかしながら制度が開始されてから17年も経過するにも関わらず、全国的に修了者・取得者はまだまだ少ない状況です。その原因としては、認定さらには専門を取得するメリットに対して、取得のためのハードルが高いことにあるように感じます。実際に認定を取得した方へのアンケート調査によると、基礎研修修了から認定取得までに要した期間は平均4.8年、要した費用は約20万円、困難であった取得要件第１位は事例報告でした。リハビリ関連の様々な資格がありますが、取得するためにここまで時間と費用・労力が必要な資格はなかなかないと思われます。これまでに制度は3回の改定を行ってきましたが、取得要件や認定・専門のメリット・ステータスについては今後の課題として検討を重ねていく必要があると感じています。

 

私の認定までの道のり

私が認定を取得しようと思ったのは2016年11月でした。それ以前から生涯教育推進担当者として皆さんに基礎研修修了を呼びかけながらも自分自身が認定を取得していないのは心苦しいと思ったのが正直な動機です。そして職場の後輩も認定取得を目指して頑張っていましたし、特に上司から「認定目指した方がいいよ」と後押しされたことが私の重い腰を上げる１番の特効薬でした。私の場合は基礎研修修了から認定を取得するまでに2年と１ヶ月を要しました。認定取得のために協会が主催する研修（共通３・選択２）は夏休みを利用して比較的スムーズに受講可能でしたが、やはり事例報告には泣かされました。まずは事例報告の書き方（書式や手続き）に苦労します。そして事例報告を提出してから査読結果が返ってくるまでに約３ヶ月、修正提出してから査読結果まで２ヶ月、また不合格で再々提出・・・事例登録だけで1年半ほどかかりました。

 

認定を取得してからは

特に大きく変わったことはありませんが、現職者研修の講師要件として共通研修の講師は基礎研修以上、選択研修は認定以上となっていますので機会があれば講師をさせていただきたいと思っています。また、生涯教育制度推進担当者として後ろめたさを感じることなく制度の推進に努めて参りたいと思っています。

 

これから取得を目指す方へ

作業療法士の職域が拡大する中、各疾患別の資格取得など様々な研修会に参加しなければいけないなど、日々の業務に加え多忙な毎日を過ごしていると思われます。認定取得のためにはある程度の日数もかかりますし研修に参加するためには費用もかかります。ただ、私のような浅学非才の者でも時間をかけて取得することができました。慌てて取得する必要はありませんので日々の業務や研修の片手間に、認定取得のための時間を少しだけ持っていただいて、地道に進めていって頂けたらと思います。そして施設の上司にあたる方の生涯教育制度へのご理解とご協力が、何よりの動機とモチベーションになりますので、今後ともご支援・ご理解の程、よろしくお願いいたします。

 

最後に、私が認定を取得できたのも職場と家族の理解や支えがあったお陰です。
心から感謝いたします。